「そういうのどんぐりのせぇ比べって言うんだぞ、おまえ知ってっか!!」


だんだんヒートアップしてケンカ状態になっているみたいだったけど、私はそれどころではなくて、どうやって瀬名さんから逃れようかとそればかり考えていた。

休み時間になったら絶対呼び出されて連行されてまた問い詰められる……いやもしかしたら怒りに怒って殴られるかもしれない……お、お兄ちゃん助けてえぇっ……。

さまざまな最悪の展開を想像しながら、恐怖に震えて1限目を過ごした私。

けれど、1限目が終わり休み時間になっても、瀬名さんは私を呼び出しには来なかった。

あ、あれ……?

恐る恐る、振り返って瀬名さんのほうを見る。

一番端の一番後ろ。いわゆる特等席と言われる窓際の位置で、肘を付きながら窓の外を眺めていた。

もしかして……怒ってはいない、のかな……?