ルームメイトの狼くん、ホントは溺愛症候群。

もうすでに1人にバレてしまったんだから、これ以上バレるわけにはいかないっ……!


「日奈太が不安がるなんて珍し」

「そ、そう?」

「お前いっつも、俺様に不可能はねーんだよとか言ってんじゃん」


……え? お、お兄ちゃんって、学校ではそんなキャラなの……?


確かにいつも、「お兄ちゃんに任せろ!」って言って、自信満々だけど……だったらもっと、元気な感じに装わなきゃっ……。


「ま、一緒に頑張ろーぜ!」

「う、うん!」


こくりと首を縦に振り、返事をしたとき、教室の扉が開いてスーツの男の人が入ってきた。


「あ、はやセン、おはよー!」


西原くんが、真っ先に反応する。


「おはようございますだろーが。……この時間に白川も来てるのか、珍しいな」


どうやら、担任の先生らしい。

切れ長の目と体格のいいスタイルが、少し怖そうな雰囲気を作っている。