ルームメイトの狼くん、ホントは溺愛症候群。

そのあとも、バレないようになんとか会話を成立させた。

クラスの人が続々と登校してきて、居心地の悪さを感じていた。

悠人くんも西原くんもいい人そうだけど、やっぱり男の人なことには変わりなくて……。

ちょっと怖いのは、拭えない……な。

一定の距離を保っているから大丈夫だけど、男の子だけの空間というのはひどく落ち着かない。

できることなら今すぐ帰りたい……と思いながらも、苦しそうなお兄ちゃんの姿を思い出して、ぎゅっとカーディガンの裾を握る。


「日奈太?」

「……っ、え?」

「どうしたの? しんどそうだけど……大丈夫?」


心配そうに顔を覗き込んでくる悠人くんに、慌てて笑顔を浮かべて見せた。


「へ、平気平気……ちょっと補習が不安だっただけで……」


頑張るって言ったんだから、ちゃんと最後までやり通さなきゃ……。