なんとか瀬名さんが戻ってくるまでに寮を抜け出すことに成功し、大きく息を吐き出す。

ひとまず、今日のところは逃げきろうっ……!

あとのことは、そのあと考えよう……っ。

それにしても……自分の運のなさというか、適応能力のなさに情けなくなってくる。

もう、帰りたいよぉ……。

今すぐお兄ちゃんに電話して、どうしようと相談したいけど、早々にバレてしまったと言ったら、きっとがっかりされるだろうな……。

ごめんねお兄ちゃん、バカな妹で……。

心の中で謝りながら、じわりと滲んだ涙をゴシゴシと拭いた。

メソメソしてても仕方ない……とりあえず、校舎を見て回ろう……。

重たい足取りのまま、私は校舎のほうへと向かった。