腹黒王子さまは私のことが大好きらしい。



「他の男になんて渡さない……乃々は俺のものだよ」



他のヤツに取られそうになっているのに……指を咥えたまま見ているなんてできるわけがない。



「京、ちゃん……? なに言ってるの……?」



ずっと口を閉ざしていた乃々が、困惑した様子でそう言った。

ほんとに、どこまでも鈍感だね。



「何って? わからないの? 俺の愛は、まだ伝わらない? それとも、わかりたくないだけ……?」



ぐっと、唇を噛みしめた。

乃々はそんな俺を見て、さらに目を見開いた。



「京ちゃん……私のこと、好き、なの……?」



ああ、ようやく伝わった。

返事をせずに、乃々の身体を抱きしめる。

俺だけの、可愛い乃々。

今は俺のことを、好きじゃなくてもいいよ。

ずっと待ったんだ。今更……何年待つのも変わらない。
だから、俺を見て。