腹黒王子さまは私のことが大好きらしい。



好かれる努力なら、死ぬほどしてきたつもりだった。

乃々に好きになってもらいたくて、俺は必死だったんだ。

勉強も、スポーツも、社交関係も、何1つ手を抜いたことはない。

全部全部……ただ乃々に好かれたかったから。



「他の男になんか目もくれないように、大事に大事にしてきたのに……なんで俺を見ないの?」



乃々に好かれるだけでいいのに。

乃々だけでいい。

他は何もいらない。

乃々が手に入らないなら……俺には何も残らない。



「乃々が嫌がったって、どうしてもあの男がいいって泣き叫んだって絶対に逃がさない。世界一乃々を愛してるのは俺だっ……!!」



今まで、“優しい幼なじみ”として、少しずつ恋愛関係を築こうと思っていたのに……もうすべてが台無しだ。

理性のタガが外れたみたいに、溜めに溜め込んだ気持ちを吐露してしまった。

俺の下にいる乃々も、目を見開いてこっちを見ている。

告白する言葉も、場所も、何度も考えて決めていたのに、まさかこんな情けない形で伝えることになるなんて思ってもみなかった。

でも、もう我慢できない。