腹黒王子さまは私のことが大好きらしい。



「え? 怒ってる? 幼なじみくんが?」

「はい……気のせいかもしれないんですけど……」



ううん、気のせいじゃない……。



「私、何かしちゃったのかな……」



手に持っている缶コーヒーを、きゅっと握りしめた。



「……ふふっ、わかりやすい男だね」

「……え?」



わかりやすい男……?



「ううん、なんでもないよ。今から教室戻るの?」

「はいっ」

「それじゃあ教室まで送っていくよ。行こ?」



笑顔でそう言ってくれる新川先輩に、断る理由もなく頷いた。

隣に並んで、教室までの道を歩く。