「京ちゃん、な、何か怒ってる……?」
「何かって、どうして?」
「な、なんだか、そんなふうに見えて……」
怖い、と思ってしまった。
「そうかな? 別に怒ってないよ。それとも、何か心当たりでもあるの?」
棘がある口調に、スカートの裾をぎゅっと握る。
嫌だ。優しい京ちゃんに……戻ってほしい。
私が何かしちゃったなら、謝るからっ……。
理由はわからないけど、とにかく謝ろうと思ったときだった。
「あ、あの……椎名くん!!」
背後から京ちゃんを呼ぶ声が響く。
え……?
驚いて声が聞こえたほうを見ると、そこには同じクラスの女の子が立っていた。
「あの……ちょっといいかな? クラス委員のことで話があって……」
京ちゃんを見ながら、そう言う女の子。