京ちゃんがどこか冷たい……それがとても悲しかった。

帰る支度をすませて立ち上がろうとしたとき、ふと2階の教室の窓から、体育館につながる渡り廊下を歩く見知った人の姿が見えた。


「あっ」



新川先輩だっ……。



「乃々? どうしたの?」

「今、新川先輩が……」



そういえば最近、新川先輩に会えていない。

会いに行ってもいい?って聞いても、京ちゃんに忙しいから今はダメって断られ続けていた。

京ちゃんも新川先輩に会いたいみたいで、会うときは一緒に行くって約束したから……。



「……また新川先輩? 乃々はその先輩が大好きなんだね」



気のせいか、京ちゃんの声のトーンが下がった気がした。



「えっと、う、うんっ。いい人だよ……?」

「へぇ……そっか。こんな離れたところからでもわかるなんて、すごいね」



まるで嫌味を含んだようなその言い方に、びくりと肩が震える。