乃々が他の男にむやみに近づかないように、他の男を見ないように。

乃々の中に、俺以外のヤツが棲みつかないように。



「あ……あのね、新川先輩はすごく優しい人なの……! 怖く、ないよ……?」



乃々の口から俺以外の男の名前が出たことと、その男を庇ったことに、歯をギリッと食いしばる。



「そんなの、会ってすぐじゃわからないでしょ? それに……いつ知り合ったの?」



誰も近づかせないように、周りを牽制して、常に気を配ってきたつもりだったのに。

いったいいつ……その男は俺の目を盗んで、乃々に近づいた……?



「えっと……先週。京ちゃんがお休みした日に……」



乃々の言葉に、心当たりは1つしかなかった。

……月曜日か。

あぁ……だから嫌だったんだ、学校を休むのは。

あの日、父親に呼び出されて、学校を欠席した自分を殴り倒したくなった。

これからは、俺が欠席するときは乃々も休ませよう。

乃々の両親からは信頼を得ているから、休ませる理由なんてどうとでもできる。

それより、やはり乃々を校内で1人きりにするなんて危険すぎて無理だ。

今回、改めて学んだ。