当たり前だ。かっこよくて、勉強も運動もできて、優しくて……みんな京ちゃんを好きになる。
まるで絵本の中から出てきた王子様を彷彿とさせる、プラチナブロンドで少しパーマのかかった綺麗な髪に、透き通るような碧い瞳。
すらりと伸びた長い手足。何を着ても様になる、モデルさんのようなスタイル。
神様が丁寧に作り上げた、一寸の狂いもない綺麗すぎる容姿。
ファンクラブだってあるみたいだし、校内ではアイドルのような存在だ。
「おはようございます! 椎名さん……!」
「椎名くん、おはよう!」
辺りから飛んでくる声に、京ちゃんは笑って返した。
京ちゃんの笑顔に、「きゃー!!」という黄色い声がそこかしこからあがる。
「はぁ……今日もかっこいい……!」
「どうしてあんなに素敵なんだろう……」
女の子たちが、京ちゃんのほうを見てそう言っているのが聞こえた。
うん……すごく、わかる……。
京ちゃんは、ほんとにかっこいい。
どんなときも、いつだって、1番かっこいい。
こうやって騒がれているのだって、いつものことだ。
別に、京ちゃんを独り占めしたいだなんて思っていない。
でも……こういうとき、ぼんやりと考えてしまうんだ。

