……あぁ、もうこんな時間か。
乃々が支度する時間配分を考えると、そろそろ起こさなきゃいけない時刻。
俺はゆっくりと手を伸ばし、乃々の頭を撫でる。
「乃々、起きて」
乃々にしかかけないような甘ったるい声で囁くと、いつもは駄々をこねるのに、ゆっくりと開いた大きな瞳。
……あれ? 起きた……。
朝に弱い乃々が、一度の呼びかけで起きるなんて珍しい。
「おはよう、乃々」
笑顔でそう言うと、乃々は俺を見てふにゃりと笑った。
「んー……あ……きょおちゃ……」
寝起きの笑顔はとんでもない威力だと、改めて思い知らされる。
俺がそんなことを考えているだなんて、きっとほんのちょっとも気づいていないだろう乃々は、あろうことか突然、俺に抱きついてきた。
……っ!?
突然のことに驚きすぎて、声も出ない。