ほんと、最高に可愛い。


乃々を見ているとたまに、“こんなに可愛い生きものが世界に存在していいのか”と疑問に思ってしまうくらいだ。

今日は起こす前に、もう少しこの寝顔を見つめていたい。

いつもより早く来たし、まだ平気だろう。



「ん……」



寝息の合間に漏れる声に、どきりとする。


か、っわいい……。


ずっと見ていたって飽きないだろうその姿。

幸福な気分で眺めていた俺だったけれど、その時間は長くは続かなかった。

再び声を漏らして、少し寝返りをうった乃々。

うっすら開いたその唇から、



「……しんか、せん……い……」



暗号のような言葉が漏れた。

しんか……せんい?

なんのことだ……?

意味がわからなかったけど、やけにその言葉が引っかかった。

夢でも見ているんだろうかと思ったとき、ふと時間が気になって腕時計を見る。