可愛い花柄のピン留めで、すごく気に入っていたんだけど……。
私の言葉に、京ちゃんはなぜかホッとした表情を見せた。
「あぁ、お母さんか」
いったい何に納得したのか、「それならいいんだけど」と付け足すように零す。
……?
「変じゃないよ、とっても似合ってる。可愛い」
不意打ちの言葉に、思わずドキッと反応してしまった。
か、わいい……。
他意がないことはわかっている。
きっと道端にいる猫を見て、可愛いって言うのと同じ感覚だろう。
でも……京ちゃんに言われると、嬉しくて過剰に反応してしまう。
「あ、りが、とう……」
きっと情けないくらい赤くなっている顔を、隠すように俯いた。
学校に近づくと、生徒たちの視線が京ちゃんに集中する。
女の子はみんな、目をハートにして京ちゃんを見ていて、それに少しだけ胸が痛んだ。
京ちゃんは人気者。

