腹黒王子さまは私のことが大好きらしい。



「……視聴覚室?」



それまで流れていた和やかな空気が、一変したのは。

新川先輩は一瞬眉間にシワを寄せて、怪訝な表情になる。



「もしかして……乃々ちゃんって、幼なじみいる?」



……え?



「はいっ。どうしてわかったんですか……?」



新川先輩って……エスパー?

そう思って目を輝かせたけど、どうやら違ったらしい。



「椎名京壱。超有名人じゃん。椎名グループの跡取りで、どういうわけか、視聴覚室の鍵はそいつが持ってるって、生徒会の耳にも入っているから。それにしても……」



先輩は何かを察した表情をして、深いため息を吐いた。



「……なるほどね。王子様が囲ってるお姫様って、乃々ちゃんのことか……」



王子……? 姫?

……またよくわからないこと言ってる新川先輩……。



「あーあ……結構本気だったのに……」

「新川先輩……? さっきからどうかしたんですか……?」



言っている意味がまったくわからなくて、さすがに口を出してしまった。