「お待たせ、京ちゃんっ……!」
玄関を開けて家を出ると、門の前で京ちゃんが待っていてくれた。
同じ高校に通う京ちゃんは、登下校を一緒にしてくれる。
急いで駆け寄った私を、なぜかじっと見ている京ちゃん。
「……」
無言で見つめられ、首を傾げた。
「京ちゃん……?」
ど、どうしたんだろう……?
私、顔に何か変なものついてる?
そんなに見つめられたら、顔に穴があきそう……。
「そのピン留め、どうしたの?」
……え?
その言葉で、京ちゃんが私の頭に付いたピン留めを見つめていたのだとわかった。
けれど、その視線がどこか冷たくて、少し不安になる。
「あっ……お母さんが買ってくれたの。変……かな?」