腹黒王子さまは私のことが大好きらしい。



その声と、目線に。


冗談で言っているふうには見えなくて、返事に困ってしまう。



「ほ、ほんとですか……?」



自分が可愛いなんて、一度も思ったことがなかった。

京ちゃんは毎日のように言ってくれるけど、それは幼なじみとしての「可愛い」だし、親戚や両親のそれも、きっと身内だからだと思っていたから。

他の人とは外見の評価をされる以前にあまり会話をしないし、むしろ自分の容姿は、平均より悪いほうだと思っていたのに……。



「うん。告白とかいっぱいされてきたでしょ?」

「いえ……1度も……」

「え? ほんとに? 彼氏は?」

「い、いたことありませんっ……」



恋の話を人とするようなことはないので、なんだか照れてしまう。

京ちゃんのことがずっと好きなだけで、私はそういうこととは無縁の人生を歩んできたから……。



「……うっそ、そこまで純粋培養されることある?」



これでもかと目を見開く会長さんに、そこまで驚くことかな?と疑問に思った。

確かに、高校生で付き合ったことがないのは……遅いのかな……?