「何してるの? ふふっ、変わった子だね」



なぜか私を見て笑い出す男の人に、ますますわけがわからなくなる。

か、変わっているのは私じゃなくて、この人のような気がするんだけど……。

そう思い見つめ返すと、男の人は満足げに微笑んで、制服のズボンのポケットに手を入れ何かを取り出す。



「君のこと気に入ったから、特別に入れてあげるよ」



取り出したのは鍵で、立ち入り禁止と書かれた教室のドアに差し込んだ。



「え……? 鍵、かかってたんですか……?」



どうして、この人が鍵を手にしているんだろう……?



「ん? 閉まってたから、入るのやめたんじゃないの?」

「あ……立ち入り禁止って書いてあったので……」



不思議そうにこっちを見る男の人にそう返事をすると、くすりと笑われた。



「……ふっ、君いい子だね。大丈夫、俺が一緒だから入ってもいいよ」



ほ、ほんとにいいのかな……?

扉を開いて、「どうぞ」と勧めてくれる男の人。