「君……」



その人は、私をじっと見つめたまま1歩、2歩と近づいてきて、空けた距離が無意味なものになる。

少しずつ縮まる距離に、私は不安を感じずにはいられなかった。



「え、えっと……?」



この人、どうして近づいてくるんだろう……?

ていうより、なんで私の顔、じっと見ているの……?



「……すっごく可愛い顔してるね」

「……っ」



……え?

かわ、いい……?

私が……?



「びっくりした。天使か何かかと思った」



私を見て目をまんまるに見開きながら、謎のセリフを吐くその男の人。

て、天使……?

せ、制服に羽でも付いているのかな……?と気になり、自分の制服を確認した。