先週は、京ちゃんのお家にお泊まりして、すごく楽しかったなぁ……。

今日は月曜日。

チャイムの音が、昼休みの始まりを告げる。

私はお弁当箱を持って立ち上がり、教室を出た。

今日は、京ちゃんが欠席。

最近はあまりなかったけど、たまにお家の都合で、学校を休むことがある。

京ちゃんのお父さんは所謂大企業の社長で、京ちゃんはその会社の跡取りだ。

京ちゃんには1つ上のお兄さんがいるけど、京ちゃんが10歳の頃に両親が離婚して、お父さんに引き取られた京ちゃんが跡を継ぐことに決まったそう。

そういう事情もあって、お偉いさんとの会食や、最近は会社の主催するパーティーにもよく出席している。

会社の話をする京ちゃんは、私とは別世界の人みたいに感じられて、少し寂しい気持ちになる。

京ちゃんがいないとき、私は基本1人。


クラスには友達がいなくて、お昼にお弁当を一緒に食べるような知り合いもいない。

どこで食べようかな……。

できるだけ、静かな場所がいいなぁ……。

いつもは京ちゃんと視聴覚室で食べているけど、1人であの広い教室で食べるのは……なんだか怖い。

人の少ない校舎の奥であいている教室を探そうと、廊下を歩いていると、行き止まりに1つの教室があった。


 “生徒会室”と書かれた表札が、バッテンで消されている。
こんな教室があったんだ……ここなら静かそうだし、誰も来なそう。