朝の恒例になっている、京ちゃんの決まり文句。

本人は冗談で言っているんだろうけど、朝からすごく心臓に悪い。

ガバッと勢いよく起きた私を見て、京ちゃんはいたずらが成功した子供みたいに笑う。



「ふふっ、残念。おはよう」



ざ、残念って……そんなこと、絶対に思っていないくせにっ……。



「お、おはよう……」



京ちゃんはいつも優しいけど、たまに意地悪だ。



「外で待ってるから、支度して出ておいで」

「うん……! い、急ぐね……!」

「急がなくていいよ。乃々は慌てたらドジしちゃうでしょ?」



……うっ。

否定できなくて、返事に詰まる。



「う、うんっ……」



素直に頷くと、京ちゃんはまたくすりと笑って、私の頭を撫でた。

いつもの朝。

私と京ちゃんは、だいたいいつもこんな感じだ。