……チッ。
乃々にバレないように、靴箱に入っている手紙……所謂ラブレターというやつを取り出す。
俺が牽制しまくっているにもかかわらず、乃々に近づこうとする男がこの学校には山ほど存在する。
一番厄介なのが、こうして密かに接触を試みようとするヤツらだ。
取り出したラブレターを自分のカバンにこっそり入れてから、乃々の靴を取ってあげた。
これはあとで、差出人を調べて処分する。
この手紙も―――その生徒も。
「はい、乃々」
下に靴を置いてあげると、乃々はにっこりと笑った。
「ありがとうっ」
お礼なんて、いらないのに。
このラブレター問題に気づいた俺は、内密に担任の先生に頼み込んで、わざわざ乃々の靴箱を上段にしてもらったのだ。
そんなことにも気づかない、純粋な乃々。
俺がどれほど乃々のことを好きで、どうやって俺のものにしようかと、そればかり考えているとも知らずに……俺を慕っている。
俺は乃々のこと――ただの幼なじみだなんて、思ったこともないのに。
ずっと……ずっと前から、乃々は俺の……。