慌てて振り返ると、そこにいたのはクラスメイトの中崎くん。
「ちょっとさ……話があるんだけど、少しだけ時間もらってもいい?」
私に話?
「うわー、新城がいない隙を見て来るとか、中崎も抜け目ないわね~」
「……いや、なんも言い返せないや……あはは」
「まああたしは、そういうの嫌いじゃないわよ」
いったいなんの会話が繰り広げられているのか、よくわからないな……。
「大丈夫だけど……なんの話かな?」
とりあえず話を聞こうと、中崎くんのほうを見た。
すると、中崎くんは一瞬喜んだように目を見開き、そのあと恥ずかしそうに視線を逸らす。
「……えっと、2人で話したいから、ついて来てもらっていいかな……?」
2人にならないとできない話……?
中崎くんとは、2年生になって同じクラスになって、2、3回程度しか話したことがない。
校内では有名人だから、一方的に知ってはいたけれど。

