夏海ちゃんの発言に首を傾げたとき、まだチャイムが鳴るまで随分時間があるにもかかわらず、担任の先生が教室に入ってきたのが見えた。
「新城、ちょっといいかー」
こうくん……?
いったいなんの呼び出しだろう?と、こうくんのほうを見る。
面倒くさそうにしながらもおとなしく立ち上がったこうくんは、先生に連れられて教室を出た。
「こうくんが連れて行かれちゃった……」
「ほっときましょ、あんなヤツ」
「あはは……」
苦笑いを浮かべながら、ちらりとこうくんが出ていった扉を見つめる。
何かしたのかな、こうくん……。
優等生のこうくんだから、悪いことをしたとかじゃないだろうけど、ちょっと心配。
「……あの、花咲さん」
「……へっ?」
ぼーっとしていた私は、突然背後から名前を呼ばれて、思わず変な声を出してしまった。

