振り返った途端、頰にやわらかい感触が走る。
「……っ」
キ、キス、されたっ……!
驚いて、頰を押さえながらこうくんを見た。
視界に映ったその顔は、口角を上げて意味深な笑みを浮かべている。
「真由、真っ赤」
からかうような言い方に、さらに熱が上がるのを感じた。
「ふっ、可愛い。……また明日」
何事もなかったようにそう言って、自分の家へ戻っていくこうくん。
な、なんだったの、今の……!
突然キスするなんて……。
でも私が昨日ダメだって言ったから、頰にしてくれたのかな……?
い、いやいや、でもキスはキスだもんっ……急にするなんて酷い……!
そう思うのに、不思議と嫌じゃないと思ってしまう自分がいた。
扉に手をかけ、今度こそ家に入る。