「い、嫌だった……っ?」



慌てて手を離そうとしたら、ぎゅっと握り返され阻止される。

離さないとでも言うかのように、こうくんは握る力を強めた。

驚いてこうくんのほうを見ると、顔が赤く染まっている。



「嫌なわけないし。嬉しすぎてどうかなりそうだけど」



私のほうを見ずに、そう言ったこうくん。

私がこんなことしたくらいで喜んでくれる人なんて……世界中でこうくんくらいだよ。

そう心の中で呟いて、ドキドキと高鳴る胸の音に気づかないフリをし、家までの道を歩いた。



「それじゃあ……また明日っ……」



家の前について、握っていた手を離した。

温もりがなくなって、なんだかとても寂しく感じる。

昨日までは……なんとも思わなかったのに。



「真由」



家に入ろうと思いドアノブに手をかけたとき、こうくんに名前を呼ばれた。