うわぁ~っ、嬉しい。なんだかドキドキしてきた……!

こうくんってば、いつの間に予約してくれていたんだろう……ていうか、予約できたんだ……!



「予約取るの、大変だったでしょう……?」

「いや。この店のオーナーが知り合いの親だったんだよ。それで頼んだ」

「へぇー……! 学校のお友達?」

「違う。前のバイト先のヤツ」



その言葉に、思い当たる節があった。



「あっ……! 前に言ってた人? 王子ってあだ名の……」



確か、こうくんが前によく話していた人がいた。

こうくんは少し前までカフェでバイトをしていたんだけど、そこのバイト仲間にとんでもなくカッコいい人がいたらしい。

私も一度だけチラッと見たことがあるけれど、『王子』というあだ名がつけられていることに納得した。

まさに『王子』という名前が相応しい容姿だったから。

クールで愛想のないこうくんと違って、笑顔を振りまけるタイプの人だったから、カフェでの人気はその人のほうが上だったらしい。

こうくんは目立ってくれるヤツがいて楽だって、嬉しそうにしていたけれど……。