「あー……」



……ヤバい。



「どうしたの?」

「……幸せを噛みしめてる」



これ、本気で現実?

夢だったらどうしようと心配になる程、もう手放したくない幸せの中にいた。

俺を見ながら、真由は不思議そうに首を傾げている。

そんな姿も可愛すぎる……とか思ってる俺は、もう取り返しのつかないところまでハマっているみたいだ。

教室に着くと、何やら真由がキョロキョロと辺りを見回していた。

そして、ハッと何かを見つけた表情をして、小走りに駆けていく。

その先にいたのは、昨日の男。

確か、中崎……とか言ってた。

真由は教室の後ろのほうで男友達と話していたそいつに声をかけ、2人で教室を出ていこうとした。

……は?



「真由? 何してんの?」



慌てて真由に駆け寄り、手をつかむ。