俺は今、間違いなく史上最強に幸せだ。



「こうくんっ、起きてー!」



いつもと同じ朝。

可愛い声に起こされて、目を覚ます。

けれど、いつもとは違うのは――。



「早く起きないと遅刻しちゃうよっ……!」

「んー……」

「こうく……って、きゃっ……!」



俺の身体をゆすっている、小さな手を握る。

そのまま引き寄せて、華奢な身体を抱きしめた。

――昨日までとは違う、俺たちの関係。



「起きるから、10秒だけこうさせて……」

「……っ」



耳元でそう囁くと、真由はピクリと身体を震わせ、そのままおとなしくなった。

こんなふうに、真由を堂々と抱きしめられる朝が来るなんて……。