「きゃー! 朝から煌貴くんを見られるとかラッキー!」

「ヤバい、カッコよすぎ……! ほんとモデルみたいにスタイルいいよね」



みんな、こうくんを見ながら目をハートにさせている。

でも、話しかけようとする人は1人もいない。

それもそのはずで……。



「1回でいいから話してみたいなぁ」

「いや無理でしょ。煌貴くんガード固いって有名だし」



……ガードが固いというか……こうくんはまったく愛想がない。

女の子に話しかけられても無視。

挨拶にすら返事もせず、女嫌いという噂が流れるほど。

みんなそれを知っているから、むやみに近づかない。

一部からは、“冷血王子”なんてあだ名で呼ばれているとも聞いたことがある。

なので、この高校でのこうくんの扱いは、“目の保養”ということになっているらしい。



「こうくん、相変わらずモテモテだね」

「……うざい、迷惑」



本当に鬱陶しそうな表情でそう言ったこうくんに、苦笑いを返した。

普通の人なら、こんなにモテたら嬉しいと思うんだけどなぁ……。