同じ制服を着た生徒たちの視線が、俺たちに集まっていることに気づく。

もう毎朝のことだし、周りからの視線には慣れている。

羨望、嫉妬、恋慕――男女問わず、俺に向けられるのはそんな感情たち。

……あと、真由にも。



「おい見ろよ、花咲さんいるぞ!」

「うわ、今日も最強に可愛いなぁ……!」



真由を見ている男子生徒たちの、そんな会話が耳に入ってきた。

すぐにそいつらのほうに視線を移し、真由に気づかれないように睨みつける。

男たちは俺の視線に気づいて、慌てて目を逸らした。

チッ……真由のこと、変な目で見んな。

真由が最強に可愛いことくらい、俺が1番知っている。

真由の可愛さは……俺だけが、わかっていればいいのに。

俺以外、気づかなくていい。



「こうくん?」



そんなことを考えてぼーっとしていた俺を、真由が心配そうに見つめてきた。



「ん?」

「ぼーっとしてたけど、大丈夫? もしかして、体調悪かったりする……?」

「いや、平気」