まだ寝ぼけているのか、眠そうにあくびをしているこうくんの手をつかんで、支度を急かした。
「真由ちゃん、いつも起こしに来てくれてありがとう。ほんとに助かるわ~。煌貴ったら、あたしが起こそうとしてもダメなのよ~」
こうくんママが困った顔で私を見る。
「……うるさい」
「もう! 照れちゃって! これからもうちの息子のことをよろしくね」
こうくんママの言葉に笑顔を返して、2人でこうくんの家を出た。
私たちの通う高校までは徒歩15分程度で、いつも2人で登下校している。
学校が近づくにつれ、女の子たちの視線を感じ始めた。
それを集めているのは、隣にいるこうくんだ。
学年が上がるにつれて、ますますモテモテになっている気がする……。
だって、それもそのはず。
こうくんは、幼なじみの贔屓目を差し引いても、カッコいいと思う。
顔はもちろん、高身長でスタイルもよくて、その上成績も首席。
運動神経もずば抜けていて、もはや欠点を探すほうが難しいくらい。
学校内にはファンクラブまで存在するらしく、いつも女の子からの視線を独り占めしている。
正門を潜ると、こうくんを見ながら話している女の子たちの声が聞こえた。