「そ、そうだよね。……あの、理由を聞いても、いい?」
恐る恐るといった様子で、そう聞いてきた中崎くん。
「中崎くんが悪いわけじゃないのっ……むしろ、私なんかにはもったいないような人だと思う……でも……」
「……」
「……よく、わからなくて……」
「わからない……?」
「恋とか、付き合うとか……私には、なんだか縁のない話みたいに思えて……」
正直な気持ちを、ぽろりとこぼした。
誰かの恋バナを聞いたり、恋愛ドラマを観たりはするけれど、自分が恋愛をしているところが想像できない。
この年になって、まだ好きな人ができたことも、恋人ができたこともないし……。
私には、別世界の話みたいで。
「……それってさ、他に好きなヤツがいるとか、俺がダメだとかじゃないって、こと?」
「も、もちろんっ……! ただ、私はまだ恋愛って、よくわからないなって思っているの……ごめんなさい……」
もう一度、謝罪の言葉を口にして頭を下げた。

