「……こっちに行こう、中崎くん」



俺の手を払い、男のほうへ歩み寄っていった真由。



「うん」



2人で別の方向へ歩いていく姿を、俺はただただ見つめることしかできなかった。
……何、それ。

俺との話より……そいつのほうが大事ってこと……?

ああ、もしかして俺の勘違いだったのか?

真由が……俺と転校生のことで傷ついているんじゃないかもって思ってここまで走ってきたけど……そんなこと、なかったのかもしれない。

むしろあの反応は、もう愛想を尽かされたのかも。

他の男についていったってことは、そういうことだよな。



「ははっ……俺、ダッサ……」



好きになってもらいたくて、あんなバカなことして……結局、こうなった。

呆れられて当然だ。

その場にしゃがみ込み、頭を抱えた。

先ほど中崎とかいう男の手を取った真由の姿が脳裏から離れなくて、きつく目を閉じる。

もう……追いかける気力も、残ってねぇ……。