正直に自分の気持ちを告げた。

私が好きなのは、間違いなくこうくんただ1人……。

それなのに、他の人と付き合うだなんて、絶対に間違っている。

何より、優しい中崎くんを巻き込むのは嫌だった。

それなのに、中崎くんは引くどころか、どんどん強引になっていく。



「どんな気持ちでもいいから、俺に甘えてほしい」

「……」

「花咲さんはただ……俺といてくれるだけでいいんだ。俺に頑張るチャンスをちょうだい」



頑張る、チャンス……。

その言葉に、私は別の人の顔を思い浮かべてしまった。

そういえば、私は何ひとつ頑張ってないな……。

今回だって自分の気持ちも告げずに、終わらせてしまおうと思っているんだから。
すごいな……中崎くん。



「真由!!!!」



ぼんやりとそんなことを考えていたとき、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

私がこの声を聞き間違えるはずがない。

こう、くん……。


反射的に振り返った先に、こちらへ走ってくるこうくんの姿があった。