ひどく動揺している様子の中崎くんは、駆け足で私のほうへ来てくれて、目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
心配そうに見つめられ、申し訳ない気持ちになる。
「な、なんでもないのっ……変なところを見せてごめんなさい……」
中崎くんは関係ないのに、心配させたら悪いよね……。
涙を拭い、なんとか笑顔を浮かべる。
でもうまく笑えていなかったのか、私を見る中崎くんの顔が悲痛に歪んだ。
「嘘つき」
……え?
「新城のことでしょ? 俺だって知ってるよ」
「……」
「昨日からその話題で持ちきりだから。あの新城が花咲さん以外の女子と仲良くしてるって」
そんな……噂にまで、なってるんだ……。
中崎くんの言葉に反論する元気も、セリフも見当たらなかった。

