「こんなに汚い気持ちになってしまうのなら……知らなきゃよかった……」



恋愛なんて、知らないままでよかったんだっ……。

知らなかったら、こうくんとも今まで通り、仲のいい幼なじみでいられたのに。

こうくんに好きな子ができたことを、素直に喜んであげられたのにっ……。

ごめんね、こうくん……。

私、こんなに性格の悪い子で……。

嫌な幼なじみで、ごめんなさい……っ。



「花咲さん?」



誰もいないはずの裏庭に響いた、私を呼ぶ声。



「……っ、だ、誰っ……?」



慌てて振り返ると、そこにいたのは――。



「中崎、くん?」



どうして、ここにいるの……?



「どうしたの花咲さんっ……? 泣いてるの……?」