「ごめんな」



自分でも反吐が出るような優しい声でそう言えば、転校生は「もー、わかったっ!」と言って引き下がる。

気持ち悪い声出すなよな……はぁ、やっぱり真由以外の女は嫌いだ。



「真由、行こ」



真由の手を取ってそう言ったとき、握った手が拒絶するように、微かに震えた気がした。

ん?



「う、うんっ……」



笑顔で頷いた真由を見て、それが勘違いだったと――俺は思い込んだまま、いつも昼メシを食べている場所へと向かった。



「な、仲良くなったんだね、松沢さんと……」



昼メシを食べながら、真由がそんなことを言ってきた。

その表情に、どこか陰が見える。



「……まあ、悪いヤツじゃないかな」



今日1日嘘ばっかついてんなぁと思いながら、さらに嘘を重ねていく。