「ねぇねぇ、昨日の宿題でわからないところがあるんだけど、教えてくれる?」
「どこ?」
「えーっとね……ここっ!」
「ああ、ここはこの公式使って……」
「ねぇ煌貴っ、教科書見せてー!」
「……ん」
転校生に返事をする度に、真由のほうを見て反応を確認する。
ひどく困ったような、あからさまに動揺している真由を見て、俺は浅はかにも喜んでいたんだ。
「煌貴ー! お昼一緒に食べよう!」
昼休みになって、弁当を持ち席を立つ。
あー、真由の気を引くためとはいえ、昼までこいつの相手すんのはマジで面倒。
「ごめん、昼は真由と食べるから」
昼休みは、数少ない真由との時間なんだよ。邪魔されてたまるか。
「えー、あたしも一緒じゃダメ?」
ダメに決まってんだろ、という言葉を呑み込んで、申し訳なさそうな表情をなんとか作った。