「そ、そっか……変な話してごめんねっ……!」
「……」
「私、ちょっとトイレ行ってくる……!」
慌てた様子で立ち上がり、足早にリビングを出ていった真由。
……ヤバい。
「……可愛すぎるだろっ……」
何それ……ヤキモチとか、そんなのする必要ねーのに。
そっか……嫉妬か……真由が、俺に。
顔のにやけが収まらなくて、自分の口元を手で覆う。
あからさまに悲しんだ顔をした真由を思い出して、頭がどうかなりそうだった。
つーか嫉妬するってことは……ちょっとは期待していいのか?
真由も俺のこと、意識し始めてるって……。
待て。もしかしたら、荒療治になるんじゃ……。
あの女を使って真由にヤキモチを焼かせて、俺を意識させる……とか。
あのうるさい女の相手をするのは面倒だけど、ヤキモチを焼いてくれる真由をもっと見たいし……。
俺は1人きりのリビングで、幼稚な考えを巡らせた。
まさかそれが、今後命取りになるとも知らずに。

