「はいっ、どうぞ」
そんなことを考えていると、マグカップを2つ持った真由が戻ってきた。
「ありがと」
「それじゃあ観よっか」
真由がテレビをつけ、録画再生の操作をする。
機械が苦手な真由は、「んー……」と何度も首を傾げながら操作していた。
代わりにやってやろうかと思ったけど、困っている姿がなんだか可愛いので、おとなしく見守る。
なんとか再生することに成功し、真由は嬉しそうにパアッと表情を明るくさせた。
あー……和む。
真由はいわゆる、癒し系という部類の人間だと思う。
温厚で優しくて、怒っているところなんて一度も見たことがない。
一緒にいるだけで落ち着くし、癒される。
今日はあのうるさい女に1日中邪魔されてイライラしてたのに……もうそんな怒りは、どこかへ吹っ飛んでいた。
ソファの上にちょこんと座りしながら、真剣に画面を見ている真由。
……手、握りたい。
そんな衝動に駆られて、俺は自分の手をそっと伸ばしてみた。