どういう状況?


相手の顔がよく見えず、表情もわからない。


「いいですけど、どうしたんですか?」


「実は僕、最近引っ越してきたばっかりなんです。あの子もそうみたいで、道に迷って家に帰れなくなっちゃって、一緒に家をさがしてあげてくれませんか?」


「は、はい。じゃあとりあえず話してみますね」


この人は何年生なんだろう?


年上っぽいな。落ち着いてるし。



女の子のそばに行ってみる。



「あ、莉亜ちゃん!」


「え、もしかして木乃葉(このは)ちゃん?」

まさかの近所の子。この前、引越しの挨拶でうちに来て、すっかり仲良くなった子だ。


「知り合いだったんですね。良かったね木乃葉ちゃん」


「うん。ありがとうお兄ちゃん!」


振り向くと街灯に照らされた男の子がいた。

初めてはっきり顔を見る。


(かっこいい……)


思わず数秒見つめてしまった。


「どうかしましたか?」

「い、いえ。あの、同じ高校ですよね?何年生なんですか?」

「ああ。1年の藤本 翔輝(ふじもと しょうき)です」

「え!?1年生だったの?
私も1年生。沖野 莉亜です。よろしくね」


同級生か。そんな風には見えないなあ。

なんで同じ年でもこんなに大人っぽいんだろう。