「どうしたんだよ、凛花。
お前、今日、ちょっとおかしいぞ?」


「怒ってるからでしょうね」


「え? 俺、なにかした?」


「あのねっ!
この首筋の内出血!」


「内出血じゃなくて、キスマークな」


や、や、や、やっぱりっ!


蚊かな、とか、ダニかな、
とか前向きに色々考えてみたけど、

蚊・ダニ・遥先輩 の
三択で、

噛まれたような
そんなおぼろげな記憶があるのは……


くっ、

遥先輩だけだ。


「あ、あ、あのね!
き、き、き、キスマークって!
なんてことを!!」


「だからちゃんと言っただろ。

ファーストキスじゃなくて、
キスマークだって。 

ひとの話、ちゃんと聞け」


ポンっと頭を叩かれて、

がくりと踊り場の床に
両手をついてうなだれる。


「ううっ、ひどい、
日々、傷ものにされていく。
お嫁にいけなくなっていく……」