「……私、向葵くんの、彼女になる。なりたい…っ」


泣きながら、呟くと。

フハッと笑った向葵くん。

そして、優しく涙を拭ってくれる。


頭をポンポンっと撫でたあと「結衣ちゃん。」と私の名前を呼ぶ向葵くん。

涙で視界がぼやけながらも、向葵くんを見つめると──


ゆっくりと、私を、優しく抱きとめた。

その温もりが、じんわりと身体の中に溶け込んでいく。

私は、静かに向葵くんのシャツを、きゅっと掴んだ。

それに気づいたのか、向葵くんは、さらに強く私を抱きしめた。


あっ……

……やっぱり、向葵くんの匂い落ち着く。


「………すき……。」


向葵くんの匂いを全身で感じたせいで、安心したのか無意識に溢れる感情。