「結衣ちゃんのことが、好きなんだ。」


今度は、はっきりと聞こえたその言葉。

確かに「好き」だと言った向葵くん。

その言葉を聞いて、私は、抑えていた涙が溢れ出しそうになった。

(……これ夢じゃなくて、ほんと……?)

頬をつねってみると痛くて、顔を歪めていると、それを見た向葵くんがクスッと、また笑った。


「俺、結衣ちゃんのこと好きになったんだ」

「……ほんと、に…?」

「ほんとだよ。俺、少し前から結衣ちゃんのこと好きになったんだ」


そう言うと、私の頭を優しく撫でてくれる向葵くん。

その手の温もりが優しくて、ぎゅーっと胸が苦しくなった。

それなのに嫌じゃないって不思議……。


「結衣ちゃんに伝えようと思っていたそんなとき、結衣ちゃんが突然『終わりにしよう』なんて言うから俺、あのときは落ち込んだ」