……向葵くんの気持ち……?

抱きしめられているせいで、頭がうまく回らない。

そのせいで困惑する私。


「…どうして最後なんて言うの?どうして終わった気でいるの?」

「え、だ、って……」


……私があのとき言ったから…。


「どうして俺の気持ちを決めつけるんだよ」


そう言うと、背中に回っている腕に、ぎゅっと、力が入る。


「俺の気持ちなんて、まだ結衣ちゃんに伝えてないじゃん…!」


──えっ……

向葵くんの、気持ち……?

抱きしめられたまま、ドキドキを抑えながら、何度も何度も瞬きを繰り返す私。

──すると、ゆっくりと解放された私は、向葵くんと至近距離で向き合う形になる。