「……私が向葵くんに言ったこと覚えてる…?」
目を伏せて「…うん。」と返事をした向葵くん。
その表情を見て、ズキッと痛んだ胸。
「私が『もう終わりにしよう。』って言ったよね。……向葵くんの気持ちなんて無視して、私が一方的に……。」
……あのときの向葵くんを思い出すだけで、胸がえぐられそうになる。
言葉に詰まる私。
のどの奥が、ギューっと苦しくなる。
無意識に手首のミサンガを握りしめる。
「……私、最低だと思った。人を傷つけたのに自分だけが逃げたの。」
「そんなことないよ」
……ううん。そんなことあるの。
向葵くんを置いて逃げたのは、私。
向葵くんの手を振り解いたのも、私。



