てっきり私の教室へ行くと思っていたけど、なぜか、向葵くんの教室へ入った私。
自分の席まで歩いて行くと、そこに静かに座った向葵くん。
「結衣ちゃん、こっち座ったら?」
自分の隣の椅子を二度軽く叩いた向葵くん。
この前言っていた、席が隣同士ってやつ。
……あれ、ほんとだったんだ。
無意識に足を進めた私は、ゆっくりとその席に座った。
向葵くんたちの教室なのに、隣同士の私たち。
それがすごく不思議な感覚で、まるで、違う世界にでもいるような、慣れない違和感に小さく驚く私。
教室が違えば窓から見える景色も違って当たり前なのに…
…それなのに向葵くんが隣にいる。
何て言い表せばいいのか表現に戸惑う。



