……ここで私が頑張らなくてどうするの! ぎゅっと、ミサンガを握りしめた私は、勇気を振り絞る。 「あ、あの……向葵くんに、話があるの…」 「俺に?」 「う、うん……。」 ドキドキ、ドキドキ──… 加速していく鼓動。 ……頑張れ、私。 奈央ちゃんのミサンガを握りしめる手に力が入る。 ふうーっと小さく深呼吸をしたあと「あのね、」と話だそうとした、そのとき。 ポツッ──… 空から落ちてきた、一粒の雨。 それは次第に落ちるペースを早めて、大きな雨粒を落としてくる。 ……こんなときに雨……?