いろんな不安な膨らんでいくと、向葵くんに会うのが怖くなってくる。

……ダメダメ。

弱気になってどうするの…!

せっかく頑張るって奈央ちゃんに言ったばかりなのに……。


奈央ちゃんにおまもり借りてるもん。

……次はもう、逃げたくない。

向葵くんに嫌われたかもしれないけど、ちゃんと気持ちだけを伝えたい。


久しぶりのベンチは少しだけ湿っているような感じがした。

今もギリギリ天気が持っているようなもので、空に広がる灰色の雲が、今にも雨を振り出しそうな予感。


………もう少しだけ天気もってほしい。

せめて、向葵くんが来るまで……。

(……どうか……どうか、もう少し……)


そのとき、サァーっと風が吹いて、木々を揺らた。

私の髪がふわりと攫われた──